こんにちは、こんばんは、おはようございます。細マッチョ療法士のKTYです。
「筋トレしてるけど、体が全然変わらない…」
「どれぐらいで筋肉は成長するのだろうか…?」
今回はこのような悩みや疑問を解決するための基礎知識を勉強する記事です。
近年は、筋トレやボディメイクに関する情報があふれかえっており、「ここにはこう書いてあるけど、別のところには違うことが書いてある⁉」「情報が多すぎてどれがほんとかわからない…」と思うことが多々あります。
人の身体は個人差があったり、ライフスタイルもそれぞれ違うので、どの情報が正しいかどうかは、人による場合もありますが、基本的な身体の構造は皆さまほとんど同じです。
なので、基本的な知識を身につけておくことで、どの情報が正しいかを自分で判断することができるようになります。
この勉強会シリーズで、基礎知識を身につけて、ご自身で情報を取捨選択していきましょう!
- 筋肥大のメカニズムがわかる
- 筋肥大にかかる時間がわかる
- 筋肥大の原理・原則がわかる
この度は当記事をご閲覧頂き、誠にありがとうございます。この記事が少しでも皆さまのお役に立てれば嬉しいです。
≪自己紹介≫
理学療法士として急性期の病院に勤務し、年間200人以上のリハビリや運動指導を実施しています。
私も元々はBMI25のぽっちゃり系男子でしたが、細マッチョを目指して5年間ボディメイクを継続しています。
現在は、体重10㎏減・ウエスト10㎝減を達成し、人前で脱いでも恥ずかしくない程度の細マッチョになりました。
自身の経験を踏まえ「仕事やプライベートを充実させながら、細マッチョボディを目指す」をコンセプトに情報発信をしています。よろしくお願いします。 Twitterもやってます→M.kty@細マッチョ療法士 (@aOaA6kaxaXi8FN1)
筋肥大のメカニズム
筋肉の構造
筋肥大について知る前に、まずは筋肉の構造について知る必要があります。
以下は生理学の書籍からの引用です↓
骨格筋の表面は筋膜で包まれ、その中に筋線維を結合組織で包んだ筋線維群がある。
出典:生理学テキスト 大地陸男
この結合組織の中には毛細血管が走り、細胞外基質の下には衛星細胞が散在する。
筋線維が傷害を受けると、衛星細胞が筋芽細胞として働き筋線維が再生される。
下図のように、筋線維が束になって、筋線維群になり、さらにその筋線維群が束になり、筋肉になります。
パスタに例えると、パスタ1本が筋線維、束になって筋線維群、数束が袋に入って筋肉というイメージです。
衛星細胞はサテライト細胞とも言われ、筋肉が傷付いたり、筋トレによって筋肉に負荷をかけると、細胞分裂を起こします。
分裂して増殖したサテライト細胞が筋線維にくっついたり、新しい筋線維を作ることで、結果的に筋肉が大きくなります。
筋線維はもっと細かく分けられますが、細マッチョを目指してトレーニングをするぶんには、筋線維まで知っておけば大丈夫です。
筋肥大の機序
「筋トレにより、筋線維が傷ついて、それを修復するときに筋肥大が起こる」とよく言われます。
文献には以下のように記載されてます↓
筋線維数の増加は胎生期までにほぼ終了するとされており、筋力増強訓練で生じる筋肥大は筋線維の断面積が増大したものである。
引用:筋力増強の理論 津田英一
筋線維の断面積増加は、それを構成する筋タンパクの合成が分解を上回った結果生じる。
筋力は筋線維数と筋線維の断面積で決まるのですが、筋トレによる、筋線維数の増加はほとんどなく、筋線維の断面積が増加することで筋肥大するということです。
筋肉はなにも刺激がなければ、自然と分解されていき、筋線維の断面積は減少していきます。
なので、筋トレをしたり、タンパク質を摂取したりして、筋タンパクの合成を促進することが、筋線維の断面積増大、つまり筋肥大につながるということです。
ちなみに断面積あたりの最大筋力は約4.0㎏/㎠としている書籍や文献が多いです。
筋肥大にかかる時間
一般的に、筋肥大はトレーニングを始めてから8~12週間以降におこると言われています。
筋力強化開始から 2 週間程度の初期においては、中枢神経性要因である筋収縮に動員される運動単位の種類と総数の変化(リクルートメント)や α 運動神経の発火頻度など、8 週から 12 週においては筋肥大によるものに変わると考えられている。
引用:筋力増強における中枢神経性要因および筋肥大性要因の分析 諸角一記 他
筋トレ開始から1カ月程度では、筋肥大より、中枢神経系の働きにより、筋力が向上します。
中枢神経が働くことで、より大きい運動単位が興奮するようになったり、運動プログラムが改善され、同じ動作でも行いやすくなります。
自重トレとウエイトトレのどちらにも言えますが、やり始めてからしばらくは、回数や重量が順調に伸びていきます。
これは、同じ動作を繰り返すことで、「その動作をいかに効率よく行うか」ということを脳が考えて、動作に必要な筋肉量を提供できるようにしたり、適切な動作方法をプログラムするからです。
「動作に慣れる」という表現が1番しっくりくるでしょうか。
逆に、回数や重量が順調に伸びているあいだは筋肥大はあまりしていません。
伸びが止まってからの継続が、筋肥大につながっていきます。
ただし、筋トレ開始から8~12ヶ月以降にすぐにマッチョになれるわけではなく、あくまで少しずつ筋肥大が始まっていくだけです。
実際に、目に見えるぐらいの変化は、半年後以降になることが多いです。
もちろん、変化にかかる時間は、どのぐらいの時間を筋トレに使えるかということになりますが、当記事をご覧の皆さまは、私と同じく、仕事終わりや休日のすき間時間で筋トレをされている方が多いと思うので、理想のボディに近づくには、最低でも1年はかかります。
したがって「筋トレしてるけど、体が全然変わらない…」「どれぐらいで筋肉は成長するのだろうか…」に対する答えは、『筋トレをしても初めのうちは、ほとんど体は変わらない』『筋トレ開始から8~12週間後に筋肥大が開始され、半年~1年後ぐらいに成果が表れ始める』です。
モチベーションを保ちながら、気長にやりましょう!!
私は成果が出るまでに1年~1年半ぐらいかかってます。詳しくは別記事をご覧ください↓
【重要】筋トレの7つの原則
筋トレを効果的に行うためには、トレーニングの原則に従って行う必要があります。
これからご紹介するのは、基礎理論なので、筋トレを始める前にはしっかり抑えてください。
各スポーツにそれぞれ理論があるように、世の中の物事にはだいたい理論があり、理論を理解することはとても重要です!
文献を引用しながら順に説明していきます。
過負荷の原則
過負荷の原則
通常使用する筋力よりも高い負荷を課さなければ筋力増強は期待できない。
引用:筋力増強運動の基本と実際 木藤伸宏 他
そのためには 1 RM(1 repetition maximum:1 RM)を計測したうえで、適切な負荷を設定する必要がある。
RMとは「決まった負荷に対して、何回反復して運動を行うことができるか」を表す値です。
つまり、1RMとは1回行うのが限界の運動ということです。
筋力維持には最大筋力の30%以上の負荷、筋力増強には最大筋力の60%以上の負荷が必要とされているのですが、まずはご自身の限界値を知ることが必要になります。
限界値がわからなければ、負荷量の設定ができませんからね。
また、回数設定は、同じ文献によると…
筋力増強には最大挙上負荷 1RM の60~65%、通常 4~6RMが必要とされている。
引用:筋力増強運動の基本と実際 木藤伸宏 他
例えば、最大でダンベル100㎏を持ち上げられる人は、60㎏のダンベルを4~6回持ち上げると筋力増強の効果があるということです。
米国スポーツ医学のガイドラインでは、トレーニング強度として、8~12RMで最低1セット、週2~3回の運動頻度を推奨しています。
必要なRM数は書籍や文献によって、多少のばらつきがありますが、10RM前後が多いです。
以上のことをまとめると、最大筋力の6割ぐらいの力でできる運動を、10回することで、筋肥大が見込めるということになります。
できれば週2回やるのが好ましいですね。
自重トレはどうするのか
1RMは、重量が数字で表せるウエイトトレではわかりやすいですが、自重トレでは測定が難しいです。
各種目で、おもりを背負って行うと1RMがわかりますが、おもりを準備するのは難しいですし、おもりを使うと、もはや自重トレではなくなってしまいます。
そこで、これは個人的な意見ですが、自重トレでは1RMを求めるのではなく、限界で何回できるかを知ってからセットを組むのが良いと思います。
例えば、腕立て伏せが最大100回できるのであれば、連続60回を10セットする…ということです。
これならわりと簡単にできますし、しっかり鍛えた感じがでます。
漸増負荷の原則
漸増負荷の原則
筋力増強運動により筋力が増えた場合、負荷を再設定する必要がある。
引用:筋力増強運動の基本と実際 木藤伸宏 他
筋力増強運動を行う前に必ず1RMの計測を行ったうえで、その日の負荷を設定することが原則として望ましい。
2つ目は、漸増負荷の原則というものですが、これは筋力upに伴い、負荷量を増やしていく必要があるということです。
この原則はトレーニーの皆さまなら、自然とやっていることだと思います。
反復性の原則
反復性の原則
筋力増強運動は、即時的効果は期待できない。
引用:筋力増強運動の基本と実際 木藤伸宏 他
このことは高齢者や病態を有している者ほど顕著である。
そのため、適切な負荷での筋力増強運動を反復して行うことが重要である。
上記の『筋肥大にかかる時間』でも記載しましたが、筋肥大にはかなりの時間がかかるので、長期目線でコツコツとやっていく必要があるということです。
特異性の原則と意識性の原則
特異性の原則と意識性の原則
引用:筋力増強運動の基本と実際 木藤伸宏 他
ただ単に筋力増強運動を繰り返しても効果は少なく、その目的を明確にもつ必要がある。
生物は与えられた負荷に見合った適応現象を起こす。
よって、何を改善するのか明確にする必要がある。
筋トレを始めるときには、「やせたい」「モテたい」などの目標があると思いますが、実際にトレーニングをするときは、そこからさらに踏み込んで、より具体的な目的を持つ必要があり、改善するところも明確にする必要があります。
例えば、「やせるために、お腹周りや、腰周りの筋肉を引き締める」「モテるために、腕や胸を筋肥大させる」などです。
また、鍛えている筋肉をしっかり意識することも大切です。
マインドマッスルコネクションと言い、最近よく耳にするかと思います。
例えば、腹筋を鍛えるときに、腹筋ではなく、胸筋のことばかり考えていては筋力upしないので、しっかりと腹筋を意識してトレーニングをする必要があるということです。
したがって、トレーニングをするときは、より具体的な目的を明確にした上で、鍛える筋肉を意識しながら行うことで、トレーニング効果を高めることができます。
筋肉を意識するためには、どこにどんな筋肉があるかを知る必要があります。
勉強会シリーズの解剖学編もぜひ参考にして下さい↓
個別性の原則
個別性の原則
引用:筋力増強運動の基本と実際 木藤伸宏 他 (一部抜粋)
運動の効果には年齢、性差、体格、体力、技術レベル、経験、健康状態、精神状態など多くの要因が関係する。
生物学的にホモサピエンスとして同じであっても人間として一人ひとり異なる。
よって、上記の要因を考慮したうえで、その人間に合った運動を行わなければ効果を得ることはできない。
これは説明不要かと思います。
20歳代の人が80歳代の人と同じトレーニングをしても、あまり筋力upは見込めません…
全面性の原則
全面性の原則
特定の筋、特定の運動のみに焦点を当てることは、長期的にみると筋や運動を起こす関節に可逆的変成を起こすことにつながる可能性が高い。
引用:筋力増強運動の基本と実際 木藤伸宏 他
よって、全体的にバランスよく筋力増強を図ることが重要である。
同じ筋肉や同じ運動ばかりを繰り返すと、同じ部位に負担がかかりっぱなしになり、筋肉や関節をケガする可能性が高いです。
反復することは大切ですが、適切な負荷と回数、頻度を設定した上で行う必要があります。
また、同じ運動ばかりで鍛えた筋肉は、いわゆる「使えない筋肉」になり、実用性が乏しくなることも多いので、全体的にバランスのとれた筋肉を身につけていく必要があります。
まとめ
今回は、筋肥大のメカニズム、筋肥大にかかる時間、筋肥大の原理・原則について、書籍や文献をもとに記載しました。
専門用語などは、嚙み砕いて記載していますが、わからないことがあれば、気軽に質問して下さい。
今回、引用させて頂いたのは、大地陸男先生が執筆された生理学テキスト、津田英一先生(弘前大学大学院医学研究科)が執筆された筋力増強の理論(筋力増強の理論_pdf (jst.go.jp))、木藤伸宏先生(広島国際大学)が執筆された筋力増強運動の基本と実際(筋力増強運動の基本と実際 (jst.go.jp))です。
これからも、一緒に身体の知識をつけて、トレーニングしていきましょう♪
以上です、ありがとうございました。
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